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旅の終わり

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岡田利規さん作「部屋に流れる時間の旅」の英語版オフブロードウェイ舞台「Time’s Journey Through a Room」は、1ヶ月の公演を終え、昨日無事に千秋楽を迎えることができました。

やっとスパイシーフードも思う存分食べれるし、お酒もガボッと飲めまーす(喉が心配で控えていた)!!!

TJTRclosing2closingflowers下の2枚はクロージングナイトより。
皆様の優しさでうちがお花屋さんみたいになってくれてますーうふふ。

いただいたお花の香りに包まれながら、今日は朝から「旅」の余韻に浸っています。お花の他にもお友達の皆様には色々とお心遣いいただきまことに恐縮でございます。

関係者の皆様、支えてくださった皆様、貴重な時間を割いて観劇にお越しくださった皆様、温かいコミュニティーへの感謝の気持ちで胸が苦しいくらいで、また改めて個人的にお礼をお伝えさせていただければと思います。私にどんな恩返しができるだろうか、時間をかけて考え行動に移していきたいと思います。

また、このような海外の素晴らしい作品たちをニューヨークの舞台としてプロデュースし続けているプレイカンパニーの皆様に、心からの敬意を表明いたします。今後とも彼らのご活動に注目していこうではありませんか。

これが私のいわゆる「オフブロードウェイデビュー」となりましたが、正直なところ、期待に胸を膨らませて渡米した当時の私に、「9年後にならないとオフブロードウェイの舞台には立てないよ」と教えてあげたら、彼女は失望して日本に引き返したかもしれません。ニューヨーク生活は、キャリアはもちろん、全てが本当に期待どおりにならない。思うように結果が出ないときでも、少しずつ自分で基準を作って、前に進めているという実感を少しでも感じられる方法を見つけて、コツコツやっていくしかない。

これを機に舞台俳優労働組合 (Actors’ Equity Association) にも加盟します。今後も引き続きご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

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(おまけ→:1日2公演あった日は、組合が用意してくれたベッドの上だけを布団仕様にして楽屋で爆睡。総じて日頃の体力なさを実感。今回の舞台でほのか役を演じニューヨークタイムズ含め批評家に絶賛された女優の川久幸ちゃんが撮ってくれました。)

Happy Happy Closing🎉 I can’t be more grateful to everyone who came, helped, and supported the PlayCo’s production of “Time’s Journey Through a Room”. I’ll need more time to process this bursting feeling of gratefulness. This wasn’t made possible without you, and without The Play Company, one of whose missions is to bring ambitious international pieces like this one onto Off-Broadway productions. I will never take that for granted. Thank you.

To be honest, I might have had a second thought 9 years ago, when I decided to move to NYC with full of unrealistic hopes and dreams and with all my money in traveler’s checks (which were all stolen later, long story), if I had known I wasn’t going to be able to perform on Off-Broadway till 9 years later, but “I am really happy right in this moment (Arisa)”, and that the journey continues. Acting is fun!

即興(Improv)

スキルを増やすべく、最近はいろいろと新しいクラスやレッスンをとっています。

improvbooks

そのひとつが、「即興」。英語ではimprov、improvisation(インプロ、インプロビゼーション)。

台本や打ち合わせは一切なく、その場でシーンを作り上げていくインプロ。とはいえ、こちらで学べるコメディのインプロは、自由な中にもルールがあります。思いついたことを何でも言って良いというわけではなく、目の前で作り上げられていくストーリーの核心を瞬時に理解し、そこに建設的に貢献できるように自分のストーリーやコメディの要素を加えていかなければいけません。

台本も打ち合わせもなく、お客さんの目の前で、コントを作り上げていく。

しかも、英語で。

考えただけで膝がガクガクして冷や汗が出てきます。ご飯も喉に詰まりそう。あいたたたた。

しかしながら、このインプロ、何が起こっているかを把握するリスニング力と観察力、オリジナルの要素を思いつくクリエイティブ脳、そして、瞬時に情報を処理し、大事な瞬間を逃さずに行動を起こす瞬発力を鍛えるのにもってこいなんですよ。

度胸も試されます。一緒にステージに立つパートナーが考えている/作り上げてきたストーリーを私がぶち壊してしまうのでは、 英語がちゃんと聴き取れていないのでは、というセルフ・ダウトを常に抱えている身にとって、腹をくくってシーンに飛び込むには、毎回のこととは言えど、とても勇気がいります。自分を奮い立たせて「えいやっ」と飛び込まないと、硬直したまま、何もできないまま、シーンが終わってしまう。

おかげで、クラスに行って3時間みっちりトレーニングした後の神経のすり減り様は半端じゃないです。お腹もペコペコ。定期的にクラスをとり、一般向けにも3回パフォーマンスをしましたが、こればかりは慣れません。

ニューヨークのインプロの歴史はけっこう古く、毎晩のようにオフ・ブロードウェイやオフ・オフ・ブロードウェイのどこかの舞台でインプロのパフォーマンスを観劇できますし、インプロを学べる専門のスタジオや小規模のワークショップがいくつもあります。ご興味のある方は是非チェックしてみてください。

Mahoatimprovshow客席から撮ってくれたパフォーマンス中の私(左)。

安藤サクラさん @JAPAN CUTS 2015

Japan Society で今月9日から19日まで開催されていた日本映画の映画祭 Japan Cuts に行ってきました。去年のブログ記事はこちら

JapanCuts2015CUT ABOVE 賞 for Outstanding Performance in Film 授賞式での安藤サクラさん。去年と今年と合わせてジャパンカッツで彼女の作品を3作観ました。

どれも面白かったけれど、今年観た「100円の恋」がとくに印象的でした。アラサーひきこもりダメダメ女がふとした機会にボクシングに目覚めて画期的な自己改革を遂げるお話。女性版ロッキーだよ、と紹介されて観に行きました。

Sakura@JapanCutsトークバックとその後のパーティーでサクラさんのお話をうかがって驚愕したのが、この2時間弱の映画、なんと2週間ですべてのシーンを撮り切ったらしいです。2週間ですよ。す、すすす、すごい。

その短期間の間に、自堕落からアスリートへ、という主人公の身体の変化にリアリティを持たせるために試行錯誤したという彼女のお話もものすごく面白かったです。

筋肉よりも脂肪のほうが落としやすい、というセオリーに従って、3ヶ月のボクシングトレーニングで培った筋肉の上に脂肪をたっぷりつけて撮影に入り、体重MAXのときに自堕落なシーンをまとめて撮影、その後はエクセサイズで脂肪だけを削ぎ落しながら撮影しアスリートとしての成長を演出、という作戦を決行したそうです。

撮影開始4日間は、体重だけでなく、むだ毛もあえて伸ばし放題にし、歯を汚くするために歯医者にも通って、もう思いつく限りすべての手を尽くして見た目を汚くする努力をしたそう(毛と歯は映らなかったですねぇと笑ってらっしゃいました)。そしてその後は最終日の「最終試合シーン」までの12日間で一心不乱に身体を締めていったんですと。

もうね、さくらさんのこのコミットメントは画面からしっかり伝わりました。彼女はこの映画でキネマ旬報ベストテンやブルーリボン賞などの主演女優賞を受賞されています。観終わった後の爽快感ハンパなかった!

JapanCutswithLeo「100円の恋」の他にも今年は5つほど映画を鑑賞しました。

ジャパンカッツにはヒット作品も招待されますが、わたしの楽しみは素晴らしいインディペンデント作品に出会えることです。「売れる」こと以上の使命を持って生まれた映画を楽しむことができ、Q&Aで制作関係者のお話をうかがうことができ、さらにニューヨークの日本映画コミュニティの温かさを感じられる、というまたとない貴重な機会。

毎年夏には欠かせないイベントです。

俳優が教える、写真うつり向上の極意

先週末、前回ヘッドショットを撮ってくれたフォトグラファーのお友達ダグラスくんのところで、 新しい写真を撮ってもらいました。(ヘッドショット修正 before & After の投稿はこちら

MahoHondaHS20151MahoHondaHS20151

こんな感じでした。

ちなみに、アホ毛は英語で「flyaway」と言います。

☆☆☆

「写真うつりをよくしたいんだけど…」とお友達から相談を受けたので、わたしのおすすめの方法をシェアします。

例えば笑顔で写りたい場合、

よい笑顔をつくろうとするのではなく、レンズを人や物に見立てて笑いかける

これです。人に撮ってもらう場合はもちろん、セルフィー(自分撮り)でも同様です。

緊張を解くためには、いかに意識の焦点を自分から外せるかがポイントです。うまくリラックスできれば、その人の魅力が自然と表情に表れます。

役に立つのは「想像力」。

実生活で、あなたの最高の笑顔を引き出してくれる人は誰ですか?恋人やご両親、はたまたお子さんでしょうか。彼らをレンズの向こうに想像し、笑いかけてみてください。出来上がった写真には、最高の笑顔のあなたが写っているはずです。

一緒に暮らしている猫ちゃんや、大好物のアップルパイ、大好きなひまわりの花など、想像するのは人でなくてもよいですよ。

カメラを他の何かに見立てるのが難しければ、関連したシチュエーションを想像するだけでも効果があります。

カメラと向き合った瞬間に、「今のわたしの顔、どう見えてるかな?」と気になってしまうのは当たり前です。しかしながら、写真うつりが悪い=表情が固くぎこちなくなってしまう根本の原因がこの自意識だと思います。何万回も写真を撮られているプロのモデルであっても、意識の焦点を自分に向けていては顔がこわばってしまいます。

自意識をうまく手なずけられれば、息を止めない、まばたきのタイミングを計算する、光の当たり具合や顔の角度を意識するなど、他の技術的なことにも気をつける余裕が出てくるので、写真うつりはどんどんよくなることでしょう。

実は、自意識に関しては演技でも同じことが言えます。観客やカメラの目からどう見えているかな、こういう風に見られたいな、などと考えながら演じると、演技のリアリティは失われてしまいます。

わたしが通っていた演技スタジオでは、この「自意識の罠」に陥るのを防ぐため、自分の役の目的を達成すること、それを相手から手に入れることに意識の焦点を集中させることを徹底して教えてくれました。具体的には、お金を貸して欲しい、プロポーズして欲しい、などという目的を達成するために、相手の言葉をよく聞き、表情や仕草をよく見て、それを元に、どのような意図で自分の台詞を口に出すのか、どのようなボディランゲージや動きをするのか、演技の最中に常に考えながら臨機応変に対応する、ということです。すると、実生活のコミュニケーションと同様、その過程で、笑ったり、怒ったり、驚いたり、悲しくて涙が出たり、といった感情が自然と溢れてきます。演技のリアリティは、「ここで怒ろう」「ここで泣こう」などと計画されたものではない、瞬間瞬間の自然な反応の中に生まれます。

演技と同様、写真の中の魅力的な表情も、「つくる」のではなく、「引き出す」イメージです。

というわけで、カメラと向き合うときは、こうした演技の要素を生かしてみてくださいね。笑顔以外にも、仕事ができそうな顔、頭が良さそうな顔、セクシーな顔、驚いた顔、おちゃめな顔、と引き出したい表情によって想像する人やシチュエーションを変えて試してみましょう。そして、その瞬間だけの、あなただけの、生き生きした表情を写真におさめてくださいね。

追記:この投稿は6月14日の The Huffington Post に一部改訂して掲載されました。

俳優式、とっておきの英語学習法

EikoActingModel: Eiko Kawasima, Photo: Peter Ou Photography

ニューヨークで英語を学んでいる、もしくは学びたいと思っている日本人のみなさん、試しに演技のクラスをとってみませんか?

ニューヨークには、一般の方でも参加できる演技学校のクラスや、不定期で参加を募集しているワークショップがたくさんあります。わたしが2年間通った演劇学校にも、アーティスト、弁護士、ミュージシャン、医者などを本職にしながら演技を学んでいる生徒がたくさんいました。

演技のクラスとひとくちに言っても、台本の中の1シーンを発表する「シーンスタディ(Scene Study)」や、ゲーム感覚のエクセサイズを行う「インプロ(impro, improvisation = 即興)」など、教えてくれる内容はよりどりみどり。

経験ゼロ、英語の台詞、人見知り…などなど不安要素はたくさんあるかと思いますが、今回は、英語で演技を学ぶことによって、演技を通して英語を学べるメリット(ややこしくてすみません)についてお話したいと思います。

☆演技のメリット1:言葉と感情がリンクする

脳科学の研究者池谷裕二さんの著書(※)によると、人間の脳は、感情が盛んなときほどものごとを覚えやすいように働くそうです。確かに、「事故にあって怖かった」「失恋して悲しかった」「旅行に行って楽しかった」など、強く感情が絡んだ出来事は、思い出として後々まで覚えているものですよね。

演技のクラスは、感情を絡ませながら言葉を学ぶには格好の場です。

例えば、台本に「I love you(わたしはあなたのことを愛しています)」という台詞があるとします。演技の中で台詞から学んだ「I love you」の身に付きかたは、単語帳や小説などから学んだ「I love you」とは違います。

演技の中で「I love you」という台詞を口にするときに感じるのは、相手を心の底から愛しいと思う気持ちや、どんな反応が返ってくるかわからない恐さ、または、心が丸裸にされたような居心地の悪さかもしれません。さらに、感情の動きだけでなく、顔や身体が熱くなったり、緊張でお腹が引き締まるように感じたり、手に汗がにじんだり、といった感覚の動きにも気がつくでしょう。また、相手役の彼/彼女が、泣いていたり、まっすぐこちらを見つめていたり、感極まって胸を抑えていたり、声が震えていたり、触れた手が温かかったり、 などという情報も一緒に受け取るでしょう。

このように、感情、感覚、相手の状態といった、文字や映像から受け取る以上の生きた情報を、台詞の言葉にリンクさせることができるのが演技です。そうした情報が、必要な場面で必要な言葉を語彙の棚から引っぱり出すためのトリガー(引き金)となってくれるので、演技をすることで覚えた言葉は自分のものとして定着しやすい、というのがわたしの考えです。

それでもクラスはちょっと…という方は、好きな映画やテレビドラマの好きなシーンを心を込めてひとりで演じてみるなど、感情を絡めることに重点を置いた別の方法を試してみるのもよいでしょう。

ただ、人前でパフォーマンスをすることで得られるメリットを逃すのは、惜しいように思います。その理由は以下に続きます。

☆演技のメリット2:とっておきの度胸が身に付く

ネイティブ英語スピーカーと話す場面で、こちらの言葉を聞いた瞬間に、戸惑うような、身構えるような「あ、この人は英語あまり話せない人だな」という反応が自分に向けられて萎縮してしまった経験が、わたしには数えきれないほどあります。ほんの一瞬のことですし、相手は悪気がないどころか無意識なことがほとんどだと思うのですが、英語にコンプレックスがある身にとっては毎回きびしい試練に思えます。しかしながら、相手のこうした反応に出くわす度に気後れしていては、英語習得への道のりはさらに長くなってしまいます。

演技のクラスは、気後れしないで英語を話す度胸を身につけるには格好の場です。

自分が他人の目からどう見えるかを気にしすぎていたら、演技はできません。普段は他の人に見せたくないような部分をさらけ出すことは、俳優の大切な仕事のひとつです。怒ったり、恥をかいたり、泣いたり、服を脱いだり、犯罪を犯したり、キスをしたり、実生活では人目をはばかるようなことを観客の前で堂々とする、それがストーリーを伝えるために俳優に与えられた役割です。観客は、日常ではそうそうお目にかからないような人間ドラマを求めて劇場や映画館に足を運びます。

これを繰り返していたら、嫌でも度胸が身に付きそうではありませんか。実際、すべてをさらけ出して演技に没頭している最中は、台詞の英語がうまく話せているかどうかの心配などしている余裕はありません。アドレナリンが洪水状態になりながら必死で演じるどさくさに紛れて、英語の恥ずかしさの壁も一緒に壊してしまいましょう。

☆☆☆

会話というのは、言葉がなくても表情やジェスチャーでかなりの部分が成立してしまいます。ですので、言葉を上達させたければ、話す必要に迫られる機会を多く作るのがよいと思います。演技のクラスは、英語を話す必要に迫られるには格好の場所です。そして何より、演技はとっても楽しいですよ!

もしピンと来た方がいらっしゃいましたら、ぜひとも英語上達の手段のひとつとして検討してみてはいがでしょうか。

HB Studio Bldg2年間通ったHB Studio。世界各地から生徒が学びにくる、すばらしい学校です。


※)わたしの愛読書、池谷裕二氏著「受験脳の作り方(新潮文庫)」第3章(3-3)より。何かを学ぶすべての方におすすめの本です!