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Three Billboards Outside Ebbing, Missouri (邦題:スリー・ビルボード)

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本当に素晴らしい映画です。第42回トロント国際映画祭で最高賞となる観客賞を受賞、アカデミー賞の前哨戦としての注目度も高い第75回ゴールデングローブ賞でも主演女優賞や脚本賞等を総なめにするなど、その素晴らしさはお墨付きでございます。

マーティン・マクドナー(Martin McDonagh)氏が脚本、監督、プロデューサーを務めたブラックユーモアあふれる映画で、娘を何者かに殺害された母親ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド/Frances McDormand さん)が、3つの巨大なビルボードをレンタルし、そこに地元警察を批判するメッセージを掲載することで、彼らに未解決事件の追及を要求するというお話。トレイラーはこちら。

娘を失った絶望を抱え、どんなに敵を作っても諦めない母親の、決意、強さ、怒り、無念さ、罪悪感、愛情、葛藤を見事に演じきった主演のフランシス・マクドーマンドさん。しかし素晴らしいのは彼女だけではありません。地元で愛されるヒーロー的な警察官を演じたウディ・ハレルソン(Woody Harrelson)さん、ちょっと単純で怒りっぽくてレイシストだけど人情深く正義感のある部下の警察官を演じたサム・ロックウェル(Sam Rockwell)さんの演技も、もう素晴らしすぎて目が離せません。

白人警官が無実の黒人青年を射殺するという事件が起こったミズーリ州の田舎町で繰り広げられる、ミルドレッドと警察官たちを中心とした人間くさい人間ドラマは見所満載。今後の躍進にも注目、オススメです!

☆☆☆

ところで、

実は、

この映画、

わたしも出演しました。

2週間前にお誘いを受けた時から今か今かと楽しみにしていたスクリーニングで知った衝撃。

出演シーンが全カットでした〜。

これが噂の「編集室の悲劇」か、と。

お隣には、「ひとりだと怖いからサポートお願い!」と頼み込んで一緒にスクリーニングに来ていただいたゲストが。わたしはもちろん観ている途中で気がついたのですが、自分の役がスクリーンに出てくること前提で来ていただいた手前、説明も長くなってしまうし、邪魔が入ることなく映画をフルに楽しんでいただきたかったので、最後まで黙っておりました。声を出すと他の観客にも迷惑だし、なにより映画に失礼だし。

映画が全て終わり、エンドロールが流れた途端、観客は総立ちで拍手喝采の雨あられ。そんな中、「MAHOの出演シーンを見逃しちゃったなぁ。『どこだった?』って聞くのも申し訳ないし、とはいえ見てないから感想は言えないし、どうしたものか、、、うーん」的な、そのゲストの、優しさのにじみ出たなんとも言えないお顔が印象に残っています。

見逃したのではなく、出てこなかったのです〜。お気遣いいただきこちらこそ申し訳ない〜。

本当に素晴らしい映画に仕上がっていたので、舞台裏のキャストやクルーの皆さんのお仕事ぶりを思い出すと感無量です。俳優として思うように貢献できなかったのは残念でしたが、結果は謙虚に受け止め、これを糧に精進したいと思います。

みなさま、ぜひご覧くださいませ!

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新年らしく

やっぱりお正月は日本がいいなぁ

「だよね」

ozoni2017と意見が一致した在ニューヨーク日本人の友達数人と、お雑煮や筑前煮やかまぼこの前で乾杯することに 決めて、今年の元旦は日本のお正月を感じながら過ごしました。

しかしね、日系スーパーで、片手に乗るサイズの伊達巻がひとつ2000円もするってどうですか。あまりの驚きに隣の日本人客のご夫婦と目があって、一緒に伊達巻を二度見してしまった。同じ棚の板付かまぼこ(紅白)はそれぞれ1700円。ご夫婦も絶句。

あまりの値段に隣人との友情生まれた。

やっぱりお正月は日本がいいなぁ。

☆☆☆

2016年が終わりました。が、次の年に引き継ぐことだらけなので正直あまりピンときません。日めくりカレンダーをめくって、母が描いた故郷の草花の絵を眺めるのが毎日の楽しみでしたが、気がつくとカレンダーは10月17日の「イボテングタケ」のまま日付が止まっていた。ちょっとした浦島太郎気分を味わいつつ、今なお息切れをひきづってる感じです。

☆☆☆

Forgiveness is giving up the hope that the past could be any different.

「”許すこと”とは、過去がこうだったらよかったのに、という希望を手放すこと」

去年もたくさんの失敗、後悔、失望を経験しました。反省の際には、こうしていたら、ああしていたら、という過去への執着を手放し、そこから得られる気づきを糧にして生産的に動くべく、1日1日を丁寧に生きていこうと思います。

ニューヨーク生活や関わるプロジェクトの中で自分の無力さを感じるごとに、よりたくさんの方々にお世話になり、生かされているなと感じる機会が増えます。2017年が、皆様にとって、幸せいっぱい、元気あふれる、素晴らしい年になりますように。

☆☆☆

2016年のハイライトを少々。3b映画の撮影。ノースキャロライナにて。

fsnycostumeこちらは時代もの。右上の青いのが私の役の衣装。

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前回ご紹介し、ご協力をいただいた、新作ドラマのセット、ドレッシング前。買い出しから、壁のペンキ塗り、家具の組み立てまで、セットデザイナーさんにリードしてもらい、たくさんの方々に力添えをいただいて0から作りました。

それぞれ詳細はまた別の投稿で。

新作ドラマ、オーディション情報

二アベから2年、近藤司、川出真理、わたし、の同じチームで新作ドラマを撮ります。マリコとタイチのその後。。。ではなく、今回はジャーナリズムをテーマにした新しいストーリーで、ただいまオーディションの真っ最中。

NYのニュースアプリ会社で働く女性主人公の上司と同僚、メインの登場人物4人を演じる俳優を募集しております。下記にオーディション情報を公開しますので、興味がある方、興味がありそうな方をご存知の方、ぜひともお知らせください。

  • 主人公の上司(35〜45)男性:主人公の新しい職場の上司。ジャーナリストとしての経歴は長いが自分の才能と人生に疑問を抱いている。
  • 主人公の同僚(20〜35)男性:あまり仕事ができないが陽気で愛嬌があり憎めない。
  • 主人公の同僚(20〜35)男性:ゲイ。口数が少ない。コンピューターに強い。
  • 主人公の同僚(18〜32)女性:ハーフの日本人。生まれも育ちも日本なのに日本人に見えないことにコンプレックスがある。

10月中旬〜11月にNYで撮影予定。ユニオン、ノンユニオン可。契約カテゴリーは、SAG-AFTRA New Media。有償。

興味がある方はキャスティング担当:hodobuzz.casting(あっと)gmail.comまで、レジュメとヘッドショット、もしあればアクティングリールのリンクも添付して、メールをお送り下さい。選考させていただいた後、オーディションの案内を、企画と役の詳細と共にお送りさせていただきます。

新作は(も!)、きっと面白い作品になると信じています。現場が楽しいことは間違いなしです。

お忙しいところ恐れ入りますが、ご協力をお願いします!Thank you for your time and consideration:)

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ロケ弁じゃない、アメリカ撮影現場のごはん事情

暑い。

これは毎日やばい暑さです。

尋常じゃなく不快なので、ここ一週間くらいTシャツ短パン以外の服は着られない状態です。1日の終わりの衰弱ぶりがハンパない。

皆さん、暑いと食欲がなくなりがちですが、こういう時ほど栄養あるものをしっかり食べて、元気を出していかないといけませんよ。。。!!

☆☆☆

ところで、「腹が減っては戦はできぬ」の認識があるのは、日本だけではありません。アメリカでも同じです。むしろ、こちらの方がある意味、徹底しているかもしれません。

というわけで今日は、わたしが見てきた、アメリカの撮影現場のごはん事情を少しご紹介しますね。

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日本で撮影現場のごはんと言えば、いわゆる「ロケ弁」。

銀だらの西京焼きとか、卵焼きとか、しいたけの煮付けとか、丁寧に準備された品々がコンパクトに詰め込まれたロケ弁は、効率とグルメを追求した珠玉の品。食事もままならないほど忙しい状況の中でも美味しいものを食べてやる!!という、意気込みを感じますよね。

一方、アメリカの映画、テレビ、CMなどの現場では、ロケ弁は出てきません。それでは、俳優やスタッフの皆さんは、一体どんなごはんを食べているのでしょうか?

答えは、「ケータリング」のビュッフェ式ごはんです。

Wikiでは「顧客の指定する元に出向いて食事を配膳、提供するサービス業」と定義されているケータリング。プロダクションとは別の、ケータリングを専門とする会社が、準備から片付けまで、撮影現場の「3度の飯」をすべて担当してくれます。

ニューヨークにお住いの皆さんは、美味しそうな食べものが並んだケータリングのテントがひとつふたつとサイドウォーク(歩道)に並んでいるのを、見かけたことがあるのではないでしょうか(そして、しれっと何食わぬ顔でスタッフやキャストに紛れちゃえば、自分も食べられるんじゃないかな、、、という邪念が頭をよぎったことがあるのではないでしょうか。)

内容を見ていきましょう。

まず、朝は何と言ってもカフェインとカーブ(炭水化物)が必須です。コーヒーは、ニューヨーカーのガソリン。これで眠気を吹っ飛ばし、さらにベーグルやマフィンなどの粉もので脳に栄養を送ります。この2つは、ケータリングを雇えないほど低予算の現場だとしても、しっかりと用意されていることがほとんどです。。

プロダクションの予算にもよりますが、ケータリングの朝ごはんにはその他、フルーツ、ヨーグルト、シリアル、ナッツ、オムレツ、カリカリベーコン、ソーセージ、ポテト、食パンやフランスパンやクロワッサンなど数種類のパンとピーナッツバターなどの各種スプレッド、、、とバラエティ豊かなメニューが勢ぞろいすることも珍しくありません。

中でもわたしのお気に入りは生ジュースです。オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系や、人参やビーツやセロリなどの野菜系のジュースを、DIYで好きなだけ作れるコーナーが準備されていることがあるのですよ。生ジュースって、自宅で作ると、たった1杯をつくるためだけに、準備も片付けもたいへんだし、ゴミも出るし。。。

 

cateringbreakfast (1)さらに、テントの近くにトラックが停まって(または朝ごはんセクションの一角で)、作りたてのメニューを出してくれることも。ブリトー、ラップサンド、目玉焼きトーストなど、なんでも好きなものをリクエストしてOK。

先日は、「野菜とチーズと卵を適当にパンに挟んで」、とオーダーしたら、コッペパン風のパンにスパニッシュオムレツが挟まれた熱々のサンドイッチが出てきて、クリエイティビティとあまりの美味しさに朝から感激しました(写真)。

もはや、どこのホテルですかここは、と。ケータリングすげぇ。

ランチやディナーには、サラダなどのアペタイザー、サンドイッチやパスタなどの炭水化物、お肉やお魚のタンパク質、デザートと、だいたいの場合はフルコースが一通り用意されています。アレルギーがある人、食事制限をしている人、健康志向の人のニーズにもしっかり対応、関係者みんなが食べられるようにという細やかな配慮がうかがえますね。

さらに、「3度の飯」に加えて、クラッカーやディップなどの軽食、スイーツ、スナックなどの間食がいつでも食べられるよう、撮影現場の一角には専用のコーナーが用意されています。これらは「クラフトサービス(Craft Service)」と言って、ケータリングとはまた別の担当者が、一日中つきっきりで管理をしてくれます。現場では短縮して「クラフト」とか「クラフティ」とか言います。

撮影中いつ腹ペコになっても、ケータリングとクラフトサービスがあれば安心です。ごはんもおやつも食べ放題ですからね。いやぁ、ここまで至れり尽くせりにしていただくと、誰だって、やるぞ!という気になりますよねぇ。

実は、こうしたありがた〜いごはん事情には、労働組合が大きく影響しています。

俳優組合の規定では、「集合時間から6時間以内にはランチ休憩を設けること、云々」ときっちり決められているんです。もしも、撮影スケジュールが押して、、、移動に思ったより時間がかかって、、、、などと言ってごはんが遅れたりすると、プロダクションは俳優にペナルティを払わなければいけません。

ちなみに、ごはんの権利が守られているのは俳優だけではなく、それぞれ専門の組合に入っているカメラさん、音声さん、セットデザイナーさん、などのスタッフの皆さんも同様です。これはアメリカならではのようで、初めてニューヨークで仕事をしたという日本のプロデューサーさんが、「セットの準備中、どんなに大事な局面であろうとも、ランチの時間になるとみんな仕事の手を止めてサラッと食べに行ってしまう。日本じゃありえない。」と嘆いていたのが印象的でした。

「ベストのコンディションで力を発揮するためには、ごはんをないがしろにしてはいけない」という認識が徹底しているのは、ありがたい限りです。腹ごしらえをさせていただいた分、しっかり仕事をせねばいけませんね。

一方、日本の撮影現場では、「ごはんが遅れたから罰金払え!」と申し立てる者は誰もおりません。それ故か、忙しすぎて食事の時間もままならない、という状況に陥ることも(あったような。遠い記憶の彼方に)。前述のようなクラフトサービスもありません。しかしながら、関係者の誰かが話題のスイーツやこだわりのお菓子を差し入れてくれることも多かったりして、組合絡みでガチガチにルールが決まってないからこその、個人の心遣いが入る余地があると言いますか、グレーゾーンがいっぱいあると言いますか、それはそれで良さだったりもします。

こうした違いはおもしろいですね。

(この投稿は、2016年8月19日のThe Huffington Postに転載されました)