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初めてのヘアドネーション(髪の毛の寄付)

歳を重ねたせいか、アメリカに来たカルチャーショックのせいか、昔はコンプレックスだった自分の色々なことが、どんどん気にならなくなっている。むしろ好きになったことだってある。その代表が、髪の毛だ。

わたしの髪の毛は、黒くて、太くて、多くて、まっすぐ。コテで巻いても、「長時間キープする」「スーパーウルトラハード」のヘアスプレーをべったりとふりかけても、数時間後には元の状態に戻ってしまう。湿気の多い日は元に戻る時間が3分の1になる。どれだけ「スキバサミ」ですいてもらっても膨らむし、本流から外れたいわゆる「アホ毛」さえも直毛で、生えたままの方向へと強力に伸びるものだから、上に横にと収拾がつかない。

「空気感」とか「くしゅくしゅ」とか言われる女性らしいスタイルがキマる猫っ毛の友人がいつも羨ましくてしょうがなかったので、高校時代から何度も脱色したりパーマをあてたりしてみたけど、アメリカに来てお金がなくなったと同時に、「これは巷で人気の無造作ヘアだから大丈夫」と自分に言い聞かせ、手をかけるのをやめてしまった。

そんなわたしの髪の毛が、役に立った。

僭越ながら、ウィッグにして使っていただくべく、髪の毛を寄付(ヘアドネーション)したのだ。

募金のように頻繁にできる寄付ではなく、条件も限られるが、寄付をする側の負担が少なく、初めて寄付をするにあたって思っていたよりもずっとハードルが低かったので、ここに書き残しておく。

わたしが寄付先として選んだのは、日本でもシャンプーなどの商品でおなじみの「パンテーン(P&G)」が2006年から行っているパンテーン・ビューティフル・レングス(Pantene Beautiful Length)というプログラム。

https://pantene.com/en-us/brandexperience/about-the-program

今までにアメリカとカナダの人々から集まった髪の毛で5万以上のウィッグを作り出してきたこちらのプログラム、アメリカがん協会(the American Cancer Society®)、カナダがん協会(Canadian Cancer Society)と組み、ガンによる闘病の過程で髪の毛を失った大人の女性たちのためにウィッグを無料で提供している。

長さ8インチ(20.32cm)以上、白髪が5%以下、脱色や染色、その他化学処理をしていない髪、というのが寄付できる髪の毛の条件だ。

PanteneHairRequirement

(英語での条件はこちら

「8インチ以上の髪の毛であれば受け取ってくれること」「大人の女性用のウィッグとして使われること」が今回わたしがこちらを選んだ決め手になったが、寄付先によって条件は様々。最低12インチ以上の長さが必要なところもあるし、集まった髪を子供用のウィッグを作るために使うところもあるし、白髪や脱色染色した髪の毛でも受けとってくれるところもある。ご興味のある方は、使用用途、ご自身の髪のタイプ、どのくらいの長さを切れるか・切りたいか、によってぴったりの寄付先を選ぶと良いだろう(末尾に寄付先をいくつか紹介する)。

パンテーンのサイトには、寄付までの手順と注意点がひとつひとつわかりやすく書いてある。せっかくの髪の毛をウィッグにしてもらえないと悲しいので、しっかりと予習してから実行しよう。(英語ではこちら)

Howtomakethecut

  1. 髪の毛をキレイにする。シャンプーで洗い、コンディショナーもOK。ヘアスプレーやスタイリング剤はNG。
  2. 髪の毛を1つにまとめる。(複数にまとめた方がいいみたいです!)
  3. ゴムで結び、ポニーテールを作る。
  4. ポニーテールは、切りたいラインの少し下にゴムが来るように確認。
  5. ポニーテールの長さを測る。8インチ以上であることを確認。
  6. 髪の毛がバラバラにならないように、ゴムの少し上をハサミで切る。
  7. ゴムでまとまった髪の毛の束をジップロックに入れ、しっかりと閉める。この時、髪の毛がしっかり乾いていることを確認。
  8. 髪の毛の束をクッション付きの封筒に入れ、こちらの住所に郵送する。
    Pantene Beautiful Lengths
    Attn: 192-123
    806 SE 18th Ave.
    Grand Rapids, MN 55744
  9. また伸びるまで待って、1へ戻る。

手順を確認したら、わたしもさっそく、輪ゴムとジップロックを持参して、ヘアサロンへ。

HairDonationBefore

断髪直前。

約2年間切っておらず、髪の毛の長さはウエストくらいだった。

「無造作」とは言ってもそのまま下ろしてはあまりにもボサボサなので、きちんとした機会にはお団子にまとめていたのだが、まとめる過程でゴムが何本もちぎれるし、ある時お団子を解くと髪の毛の束の中で小さなムシが死んでいてショックを受け(富士の樹海かと)、切ることに決めた。他にも、髪の毛が肩掛けバッグの持ち手に絡まって後ろを振り向けなかったり、寝てる時に首に巻きついて悪夢にうなされたりして、ロングヘアは何かと大変だということを学んだ。

HairDonationRightAfter

断髪直後。

9インチ(23cm)くらい。根元を輪ゴムで止めてその上にハサミを入れてもらった。ここでゴムの下を切ってはいけない。髪の毛がバラバラになるとウィッグとして使えないからだ。スタイリストさんは、「ヘアドネーションをするためにこうして髪の毛を束ねて持って帰るお客さんはけっこういますよ。」とおっしゃり、ポニーテールを3つに分けて切ってくれた。その後残った髪の毛は普通に切って整えてもらった。

HairDonationSent

持って帰って、封筒に入れて、郵送して完了。切り方をよくご存知のスタイリストさんのおかげで、初めてでも簡単だった。HairDonationAfter

YAMA
6 Spring St
New York, NY 10012
917-475-1283
http://yamahairsalon.com

(→散髪直後。スタイリストのMayuさん、ありがとうございました!)

先日、撮影のヘアメイク中に髪の毛の話になって、メイクさんが「アジアの女性の髪の毛は丈夫で羨ましいわ。あなたのも喜ばれるわよ。グッジョブ!」と言ってくれて、黒くて太くて多くてまっすぐの「丈夫な」髪の毛が嫌いだった身としては、素直に嬉しかった。脱色とパーマをやめたことも、意外なところで役に立った。

抗がん剤治療をしていた女友達が身近にいたので、ほんの小さなことだけど、髪の毛が伸びたら寄付したいとずっと思っていたのだ。闘病はそれ自体が本当に大変。ウィッグで、気持ちだけでも、少しでも、明るくなれるといいなと願う。

また伸びたら寄付したいな、と思える良い経験でした。

☆☆☆

その他の寄付先の例:

Locks of Love
http://www.locksoflove.org

闘病で髪の毛を失ったアメリカ&カナダ在住21歳以下の方々のためのウィッグ用。寄付を受け付ける髪の毛の長さは10インチ(25.4cm)以上。染色やパーマをした髪の毛、白髪はOK。脱色した髪の毛はNG。

Wigs for Kids
https://www.wigsforkids.org

ガン、火傷、脱毛症などによって髪の毛を失った子供たちのウィッグ用。長さ12インチ(30.48cm)以上。白髪はOK、カラー、パーマはNG。

他にもたくさんあります!