ミュージカル「VIOLET(ヴァイオレット)」。「美しさ」とは何なのか?に対するひとつの答え。

ブロードウェイ作品を続けて観たので、記事にしていきたいと思います。まずは、サットン・フォスターさん主演の「VIOLET」。たまたま観劇後パネルディスカッションがある回だったので、その様子も少し。

まずはあらすじです。Mr. Wikipedia ”Violet”(英語のみ)

この劇の舞台は1960年代。飛んできた父親のオノが顔に刺さってしまうという不慮の事故のせいで、一生消えない傷を負ってしまった少女ヴァイオレット。他人と「違う」顔のせいでうつうつと引きこもる生活を送っていた彼女だが、25歳になったある日、傷を治せる牧師がいるというTulsaまで旅に出る。傷を消し、あわよくば映画スターのような美しい顔を手に入れるのだ!と意気込むヴァイオレット。この旅で、彼女の顔の傷、さらに、心の中に深く刻まれた傷は癒されるのだろうか。

もうねー、めちゃめちゃよかったです。

ぺらっと感動という言葉を使いたくないけど、言っちゃいます。感動。感動しました。

目からナイアガラの滝が噴出して、ステージが万華鏡みたいにキラキラして見えた。

周りの人と見た目が違うというのはどういうことなのか。世の中の「美しさ」のスタンダードが、いかに多くのステレオタイプを生み、人々を生きづらくしているのか。…ということを、自分の過去の経験をふまえて深く考えさせられる内容でした。

violetSara Krulwich/The New York Times

やはりやはりやはり、主人公のヴァイオレットを演じたサットン・フォスターさんが素晴らしい!歌の技術はもちろん、チャーミングで、でも少し屈折していて、怒りと葛藤を秘めながら希望ではち切れんばかりにキラキラしていて、もう最初に登場しただけでぐぐぐーっと感情移入させるものがありました。

子ども時代のヴァイオレット役のエマーソン・スティールさんとふたりで歌う「Look at Me(わたしをみて)」は、傷のある顔をじろじろと見るだけの人はたくさんいても、自分の本質を見てくれる人がいない、というヴァイオレットの苦悩が伝わる素晴らしいパフォーマンスでした。

後のQ&Aでバイオレットの役作りについて聞かれたサットンさんのお言葉を参考に(ラフ訳)

「バイオレットはユニークなキャラクターです。わたしが過去に演じたどのキャラクターとも違います。でも、たくさんの部分で共感しながら演じています。顔に大きな傷はなかったとしても、彼女のように、人と違って悩んだこと、自分の一部を絶望的に変えたいと願ったことは、誰にでもあるのではないでしょうか。」

Tulsaへの旅路で出会うふたりの兵士のうちのひとり、黒人兵士Flick役のジョシュア・ヘンリーさんも素晴らしくってもうこれがあーた。動きもキレッキレだし、彼が歌う曲の応援メッセージにも感動しました。

サットンさん&ジョシュアさんはトニー賞ノミネート中です。さすが!

プロダクションの裏話もひとつ紹介します。このストーリーのコアになるヴァイオレットの顔の傷を特殊メイクで再現しなかったのは、目に見える顔の傷ではなく、目に見えないヴァイオレットの心の傷に感情移入してもらうためだそう。97年にオフブロードウェーで初めて公開されたオリジナル版もそうだったらしい。「観客の想像力の産物に勝るメイキャップなんてないからね」と話していました。

シアターってこういうところがクリエイティブ。これが可視的なリアリティを追求する映画だとそうはいきませんからね。

サットンさんは、顔に傷の特殊メイクをしていないことに加えて、舞台メイクも一切なしのすっぴんぴんで役に臨んでいるそうですよ。そのおかげで表情がとってもよく見えました。

ただし、プロダクション内ではこの傷に対する認識をそろえようと、リハーサル中に1度エマーソンさんのお顔に特殊メイクで傷をつくってみて、「こんな傷」というイメージをキャスト&クルーみんなで共有して臨んだそうです。

violet2Supported by myFace.org

さて、観劇後パネルディスカッションのテーマは、「VIOLET」の内容に関連して、「Redefining Beauty (美しさを再定義する)」でした。

中心となったのは、My Face という団体。彼らは、顔の一部または全部を失った人たちが顔面再建手術を受けられるようにサポートしながら、見かけの「違い」に対する人々の理解の普及に努めています。

前半は、団体の方が、My Face のミッションや活動内容について話してくれた他、人と「違う」顔を持つ当事者の方たちがマイクを持って、学校でいじめられたことや周囲のサポートなどといったご自身の経験をシェアしてくれました。キャストやクルーのみなさまも参加し、先ほど紹介したような裏話や、ご自身の意見や経験を聞かせてくれました。

後半の観客も交えたQ&Aでは、観客からいろいろな意見や応援メッセージが出た他、過去に体全体の皮膚の65%にヤケドを負ったという女性が立ち上がり、涙ながらにステージ上のみなさまに舞台を観た感動と感謝の気持ちを伝えていました。

制作陣の「声なき声をアートにして世の中に届けたい!」という熱い思いが、「自分たちのことを理解してくれる人がいる!」という希望になって本人に届いた瞬間を目の当たりにして、ここでもまたぐっときた。

はー。もうね。言葉が尽きました。

ぜひぜひみなさまも、トニー賞4つノミネートにふさわしい絶品ミュージカルをご自身で体験し、余韻までしっかり味わってきてくださーい!

あ、観客もだだ泣きすること間違いなしなので、主演女優さんと同じくすっぴんで行くのをおすすめします。

カントリーからゴスペルまで、ナイスMusic・de・身体Swing度 ★★★
過去の「違い」体験が走馬灯のように出現度 ★★★

Flickのカクカクダンスのクリエイティビティ★★★★
熟女の貫禄 ★★★★

※学割、当日割、メンバー割あります。

Violet

Official Website
http://www.roundabouttheatre.org/Shows-Events/violet.aspx

Student Rush: A limited number of half-price seats sold a half hour before curtain. They are subject to availability and limited to 1 per person with a valid student ID.

General Rush: $37 – A limited number of tickets sold when the box office opens on the day of the performance. Tickets are subject to availability and limited to 2 per person. Tickets located in the rear sides of the mezzanine. Cash or credit card.

Hiptix: $25 – Roundabout’s Hiptix program allows registered patrons between ages 18 and 35 to purchase 1 pair of tickets per production at this price. Free registration is required. Ticket may be purchased in advance as availability dictates. Info at: http://hiptix.com/

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