日別アーカイブ: 05/01/2013

「I love you 」と「愛してる」の違い

前回のポストに書いた映画「What Maisie Knew」の中で個人的に印象深かったのが、いろいろな場面で、大人たちがメイジーに言う「I love you」だ。

そこで思い出すのが、よく英語圏の方々からいただくこの質問。

「”I love you”って日本語で何て言うの?」

「直訳は”アイシテル”だよ。でも、あまり気軽に使わないよ」

「えっ! じゃあ、I love youって気持ちはどうやって伝えるの?」

「…。んー。たぶん、愛してたら言葉にしなくても伝わるはずだから大丈夫って考えだと思う。」

そうなのだ。「アイシテル=I love you」という訳は誰でも知っているが、気持ちを察することが美とされる日本には、アメリカの「I love you」に相当する直接的な表現がないのだ。ニューヨークのような、相手が察してくれることが前提でない多様性の街に住んでいると、自分の意見や思いを言葉にして伝えることの大切さを嫌でも学ぶことになる。「愛」「好き」といった感情も、どんどん言葉にする。

ただ、こちらの「I love you」は、そもそも日本のそれとは意味合いが違うように思う。

久しぶりに会ったらとりあえず「I love you」、授業のノートを写させてくれたら「I love you 」、電話を切るときも「I love you」、さらには道ゆく赤の他人のおっさんまでもが「Sexy legs! I love you~」などと言ってきたりする。

「Maisie〜」の中でもいろんなコンテクストで「I love you」が使われていたが、相手に対して何かをしてもらうため、機嫌をとるため、または許してもらうために、おまじないのように口から出てくる「I love you」は、「支配」や「操作」の言葉が「愛」の皮をかぶっただけなのではないだろうか。。。そんなことを観終わった後にぼーっと考えていた。

というか、そもそも愛ってなんですか。

…今日はこんなで。おやすみなさい

映画「What Maisie Knew」

「What Masies Knew(メイジーが知っていたこと)」のスクリーニングにご招待いただいた。親権をめぐる両親のバトルとその周りのドラマを6歳の子どもの視点で描いた作品で、同タイトルの本の映画化だ。

WHAT-MAISIE-KNEW_510x756“What Maisie Knew” IMDB page

あらすじなどの詳細はWiki(英語)先生へ

出てくるのは、欲しいものを全部抱えようとして、いちばん大切なものを守り切れていない、いっぱいいっぱいな大人たち。自分勝手で、無責任で、それでいて心に傷を負っていて、幸せになろうと必死…そんな彼らを、大きな瞳でやさしく見つめるメイジーを演じたOnata Aprileさんが、めちゃくちゃいい。

もいっかい太赤字で言います。めちゃくちゃいい

そして、彼女の母親役で、歳を重ねたロックスターを演じるJulianne Moore(ジュリアン・ムーア)さんも最高。

映画の後のトークバックにて、監督のScott McGeheeさんとDavid Siegelさんが、メイジー役が撮影3週間前まで決まっていなかったこと、ジュリアンさんの母親ならではの視点からの提案を多数取り入れたことを話してくれた。ジュリアンさんは、監督が決まるずっと前から、この作品にでたい!と希望しており、出演が決定していたらしい。映画を観ているとその気合いがビシビシっと伝わってくる。

オーディエンスからも、ふたりの演技についての質問が集中した。

こんな風に、”悪者”も”被害者”も作らない描き方で、重要な話題を浮き彫りにしている映画は好きだ。上映時間も98分とコンパクト。

インディペンデントフィルムなので、今後につながるように、どんどん観にいきましょう。ニューヨークは、5月3日からイーストヴィレッジのアンジェリカフィルムセンターで公開です!

トレイラーはこちら。

まさに子どもの親権争いの裁判真っ最中という友人がいるので、そういう意味でもたいへん興味深かった。

P.S. 邦題は「メイジーの瞳」と言うらしい。つづく